JLIPA総会で緊急避妊薬について講演

 現在、国民の理解不足などを理由に数年先の再検討という異例の継続審議扱いとなっている緊急避妊薬「レボノルゲストレル(製品名ノルレボ錠1.5㎎)」。厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、医師会や関係医会などからの強烈な反対意見に押し切られ、絶望的な状況に追い込まれたが、文字どおり“瀬戸際”で候補成分として踏みとどまっている同成分に関して、現場の薬局・薬剤師からは改めて受け皿になるべく環境作りが進められようとしている。

 日本女性薬局経営者の会(JLIPA・堀美智子会長)は、先ほど開催した総会で、スイッチ賛成派の医師を招いて講演を行った。薬局・薬剤師の研鑽を重ねることで、再検討に向けた機運を高めようとしている格好だ。

 

緊急避妊薬がOTC化されていない先進国は僅か

 

 知らないのは愚か、知らせないのは罪である。

 日本家族計画協会の理事長であり医師の北村邦夫氏は、JLIPA総会で行った特別講演の中でこのように語り、緊急避妊薬へのアクセス改善は待ったなしの状況にあることを呼びかけた。

 北村氏は「2011年時点でレボノルゲストレル緊急避妊薬が薬事承認されていない国は7カ国だった。つまり日本という国は、それほど緊急避妊薬へのアクセスに課題を抱えている」と指摘する。

 

 同氏は自身のクリニックにおける緊急避妊薬が必要になった理由の調査では、避妊器具(コンドーム)の破損が最も多く、避妊をせずに行為に至ったことや、コンドームが脱落することなどが大半の理由であると紹介。「こうした状況にあることが人間の怖さであり、同時に素晴らしさでもある」と付け加え、緊急避妊薬が必要になることは、誰にでも起こりうる事態であると続ける。

 

 同氏は、レボノルゲストレルを服用した9割において副作用は発見されず、また8割の確率で避妊が成功するなど、医学的見地からも同成分の有用性は明らかであると強調する。
 過去1年間に緊急避妊法を利用したことがある人は約46万件であるものの、レボノルゲストレル錠の売上げシート数と一致せず、約30万人がその他の方法で緊急避妊を行っている実態を紹介。

 その一方、現在行われている厚労省での議論はバイアスがかかっていることも指摘し、「検討会ではモーニングアフターピル、性交後避妊、緊急避妊法という言葉を聞いたことがあるのは30%程度と紹介されていたが、私が実施した2016年度の調査では、知っているとした女性は50%、男性は39%、全体でも45%が知っている」とし、現在はさらに高い可能性があることを訴える。

 同氏は「国民の理解への啓発が足りないかも知れないが、理解不足と断定するのはどうか」と語り、知らないのは愚かであるが、医療者側が知らせないのは罪であると言葉を続ける。

 

 こうした状況の中、スイッチ化に向けては薬局・薬剤師のこれまで以上の努力が求められることを言及する。
 北村氏とJLIPAの堀会長が実施した緊急避妊薬のスイッチOTC化に関するアンケートでは、不十分と言うべき現状が浮かぶ。

 緊急避妊薬に対する認知度を5段階評価で収集したところ、「一定程度知っている、よく知っている」は全体の30%弱という状況で、「まったく知らない、知らない」は40%近くに達した。

 同氏は「薬剤師はチャンスが与えられた際はものすごく勉強するが、他にも多くの学ばなくてはいけない成分があるなか、現時点で手に入っていない成分について前もって勉強することは稀であるとの話を聞いた」と語り、総会出席者からの情報発信に期待感を示した。

 

 北村氏は「緊急避妊薬は過去72時間以内に対する最後の避妊法である。しかし、低用量ピル並みの妊娠阻止率にはない。望まない妊娠を回避するためには緊急避妊薬から安定的な低用量ピルの使用へと移行していくことが重要である」とし、最も大切なことは「男性に依存しない避妊法を普及させること。女性が自らの意思で主体的に避妊できるようにしていくことがこれからの課題だ」と強調した。


 既に発売されている欧州諸国では、薬局で緊急避妊薬が購入できるが、薬剤師の目の前で服用することが求められていたり、個室で女性の薬剤師から丁寧な説明を受けることを義務付けていたりすることを紹介。日本における導入のヒントになると説明した。

 

薬局新聞 2018年6月27日付掲載