取引可能なフリマアプリ上での医薬品売買(シリーズ前編)

 現在急速に拡大するフリマアプリ(個人間売買、フリーマーケットをネット上で行うアプリ)において、医薬品の売買が行われている実態が判明した。先ほど行われた日本中毒学会総会・学術総会で、北海道薬科大学の岸本桂子准教授が明らかにした。

 売買されている医薬品は医療用から一般用医薬品まで幅広く、フリマアプリ運営会社はこうした出品が判明し次第「随時削除する」としているが、まだまだ対応は不十分と言わざるを得ない現状も岸本准教授は併せて指摘する。

 ただ現行法制度下ではオークション形式での販売は禁止されているものの、フリマアプリを想定した明確な文言はなく、後手に回る対応に留まっている。

 

北海道薬科大・岸本准教授が日本中毒学会で調査結果を公表

 

 フリマアプリは近年爆発的な成長を見せており、既に3000億円以上の市場規模と目されている。若者を中心に利用者は年々増加しており、その売買の手軽さと、欲しい製品が格安で手に入れられることなどが支持の背景と言われている。9000億円といわれているネットオークション市場にも数年中に肩を並べるとの展望もあるなど、今後生活シーンにさらに溶け込んでいく可能性を秘めている。

 しかしながら、フリマアプリを巡っては現金の売買が行われていたことや“妊娠菌”と称した製品が出回っていたことで、社会から厳しい視線に晒されたことも記憶に新しいところだ。

 

 こうした中、先ほど行われた日本中毒学会総会・学術集会で北海道薬科大学の岸本桂子准教授が明らかにした調査報告はインパクトのあるものだった。

フリマアプリでの医薬品売買の実態を報告
フリマアプリでの医薬品売買の実態を報告

それによると、現在利用者が多い3社のフリマアプリで医薬品が出品・購入できるか調べたところ「調べた全てのアプリで可能だった」(岸本准教授)という。

 昨年の調査結果ながらも、調査した3社のいずれにおいても医薬品の出品を確認できたことを報告した。
 こうした状況について岸本准教授は「現在は個人輸入でも医療用医薬品や国内未承認の医療用医薬品を購入するこが可能なため、一般生活者の感覚では『ネットでも買える製品を再度ネットで出品して何が悪いのか』というところではないか」と指摘する。

 本年7月上旬現在、小社がフリマアプリで医薬品などの出品状況について調べたところ、医薬品と見られる製品を確認できた。


 法令遵守についてメルカリに質問すると、「サービス開始当初から法令違反の出品や行為等は利用規約で禁止しており、法令違反や利用規約違反が確認できる出品等は随時削除している」(同社広報部)と回答。そうした行為をした出品者に対しては「警告や利用制限等の措置を取っており、再発防止に努めている」としており、問題のある製品に対しては、ユーザーからの通報のほか、システムにより随時感知し、250人以上のカスタマーサポートにより対応していることなどを説明する。

 

 ただ、現状は急速に拡大する出品状況の中で、無法地帯とならないように運営会社も監視体制を敷くものの、全てに対応できているわけではない。岸本准教授はパトロールの状況についても調査し、「医薬品を出品している状況について、法令違反通報から24時間単位でどのように変化していくかを観測した。

 また24時間ごとに再度通報し、72時間後にも通報することとした。結論から説明すれば、メルカリ、ラクマともに3回通告し、出品が取り消されたのは半数程度だった。つまり、残る半分程度は72時間経過しても購入することが可能になったままだった」と苦言を呈す。

 

 東京都福祉保健局健康安全部は日本で唯一、サイバー薬事監視担当を配置してインターネット上における医薬品等販売などを監視しているが、一般論として「オークションと違い、フリマは出品から落札までのスピード感が違うため、定期的なチェック体制では対応できない可能性もある」とコメントする。

 メルカリは東京都福祉保健局薬務課との連携・協力体制にあることを明らかにしている。また同社は出品された後も、「最短30分で出品を削除する体制により、健全なフリマ環境の提供に乗り出している」ことを重ねて強調しているが、出品そのものを止める手立てについては、現状では明確にしていない。

 

 フリマアプリの中には、日本で承認申請が取り下げられた医療用医薬品の出品が確認されたと岸本准教授は語り、「ひとりの薬剤師としてかなり衝撃を受けた」と法制度の早急な見直しを強調する。

 

 日本チェーンドラッグストア協会の宗像守事務総長も現状に警鐘を鳴らしており、「事業の邪魔をしようというのではなく、統一したルールの中で市場競争が行われるべき。ルールを変更すべきなら議論すれば良いが、あやふやな実態を許していれば法制度が形骸化する」と記者会見の中でコメントし、現行法で禁止されている要指導薬などの取扱いもなし崩し的になると警戒感を示す。

 

 そもそも論として、岸本准教授はフリマアプリに限らず、インターネット上で医療用医薬品が購入できてしまう現行法制度に強い疑問符を投げかける。

 このような現状が招くのは、出所不明の医薬品がフリマアプリなどに出品される危険性があるほか、現在、国・医療関係者が対策に本腰を入れている家庭などにおける残薬問題にも、大きな影を落とす危険性を含んでいる。
後編へ続く

 

薬局新聞 2017年7月19日付