花粉症罹患者とピロリ菌除菌不成功率の関連を立証

 浜松医科大学は先ごろ『花粉症にかかる人はピロリ菌除菌不成功率が1.5倍になる』との研究結果を日本内科学会英文誌に発表した。

 薬剤師としてドラッグストア(DgS)に勤務しながら同大学健康社会医学講座で特任研究員を務める尾関佳代子さん(杏林堂薬局高塚調剤センター)を中心に取りまとめられたもので、医薬分業の質や効果を裏付けるエビデンスが求められるなか、調剤の現場から医療向上に寄与する成果となっている。

 

調剤業務における薬剤師視点で新発見

 胃がん・胃潰瘍の原因とされるヘリコバクター・ピロリの除菌率向上は予防の観点で重視されるが、調剤業務において尾関さんはピロリ菌2次除菌の投薬を受ける患者に花粉症罹患者が目立ったことに着目。

 自身が勤める薬局でピロリ菌1次除菌薬の処方箋を持ち込んだ患者356人に対し、アンケートを用いて花粉症の有無を調査したところ、実際に花粉症のある患者(34.4%)が無い患者に比べて優位に高く、花粉症のある患者は約1.5倍除菌されにくいリスクが高い傾向が示された。

 また、この傾向は調査データにおいて年齢が低いほど顕著となっており、50歳以下の花粉症患者では除菌率が42.9%に留まり、除菌失敗率としては花粉症を持たない層に比べて約3倍にも上昇することが浮き彫りにされている。

 花粉症とピロリ菌除菌不成功の関連を明らかにした研究は初めてという。この研究においてメカニズムは明らかになっていないが、尾関さんらは花粉症患者がヒスタミン受容体の影響で胃酸の分泌量が高い可能性があり、除菌に使われる抗生物質の効き目が損なわれやすいと考えられるほか、免疫の関与などの考察を提示。

 今回の結果を踏まえ、「ピロリ菌初回除菌を行う花粉症患者は除菌されにくい可能性があることを念頭に置き、飲み忘れは絶対しないなど、より注意深い服用を心がけることが大切」と服薬指導の重要性を呼びかけている。

 

 尾関さんは杏林堂薬局で調剤併設店やDI室に所属しながら薬学・薬剤師関連学会で研究発表を積み重ね、4年前に同大学医学部大学院博士課程に進学。

 今春にはDgSでの膨大な鎮痛剤の売上データをもとに、頭痛症状と悪天候との関連を裏付けた研究論文を発表して医学博士を取得しており、引き続き現場の薬剤師視点で医療の質的向上に関わる研究活動に取組む意欲を寄せている。

 

薬局新聞 2016年8月10日付