【店舗レポート】B.B.ON 日本橋店(東京都中央区)

 ウエルシアホールディングスが東京・日本橋に都市型新業態「B.B.ON(ビビオン)」の1号店を6月1日にオープンした。郊外展開を主体とする同社にとっては都内の一等地への大胆な進出に加え、別会社による新たな店作り、調剤併設・24時間営業と話題性に事欠かない。

 また、薬学生の有意義な実務実習先を強く意識した人材教育拠点とも位置付けており、検体測定室を通じた薬剤師による受診勧奨モデルの推進といった要素も絡め、意欲的な試みを随所に盛り込んだ次世代のフラッグシップの実力に各方面から熱い視線が注がれている。

 

ウエルシアHDが都内の超一等地で仕掛ける調剤併設24時間営業新業態

 新業態が構えるのは東京駅から500メートルにも満たない日本橋交差点に建つ柳屋ビルディング1階で、曰く「徳川から譲り渡された」とされる土地の由緒においても“超”が付く一等地。

 再開発系ビルと比べ、ドラッグストア(DgS)が入居するにはコスト以前に本質的な部分でのハードルを窺わせるほどで、実際に相当な交渉の末に出店を実現したという。

 店作りでも「働く女性のための日本初のシティ型ドラッグストア」をテーマに既存店と完全に異なる業態開発に挑んでおり、化粧品やビューティ雑貨を中心にネイルサロンやエステルームを導入するなど、東京を代表するオフィス街の女性層に向けた格調高い専門店を目指している。

 

 売場政策では女性社員によるプロジェクトチームを組織し、日本橋地区のTポイントユーザー調査を通じて方向性を検討。

 「『化粧品も安心・安全に使いたい』との要望が最も多かったことから、アポセカリー(いわゆる薬系)とオーガニックの化粧品に特化し、美容師やネイリスト、エステ技術を持ったスタッフを揃えて徹底的な専門教育を行った」(ビビオン・小川美恵社長)としており、DgSでは仕入れが困難な特長的な商品を揃えるために別途運営子会社を立ち上げた形となっている。

 

 一方、調剤併設・24時間営業に関しては郊外よりも潜在的なニーズが見込めると言える。

 約200坪の売場展開は厳密にはビビオン運営店舗とウエルシア薬局による共同出店で、統一感を持たせながらも売場と隔離した充分な待合いと投薬カウンター、そして検体測定室までを備えた薬局部門を確立した。日本橋近辺には多数のクリニックが点在し、同じビルの地下にも総合診療科・眼科・歯科が入居しているのに加え、出店に際して2階に整形外科らを新規に招致。

 さらに地階で月4000枚応需する薬局を買収することにより、あわせて月8000枚前後の調剤実績を見込む。

次世代の薬剤師育成と業務環境整備にも意欲

 

 まさに東京のど真ん中に進出し、現時点で考えられる試みを全て詰め込む貪欲な戦略には、前文で触れたように薬剤師を中心とした人材教育や社会的なアピールも大きな目的にあげられる。

 オープン当日の記者会見で松本忠久副社長は、検体測定室展開について「現在グループ40店舗ほどで手がけているが、なかなか普及していない。進展させるには医療機関とのタイアップが重要と考え、ここでは近隣クリニックとの連携を強化しながら薬剤師がレベルの高い受診勧奨に取組む」と説明した。

 具体的に実績重視で測定費用を従来の1000円から500円に引き下げ、積極的な勧誘を図りながら患者紹介シートなどに基づいた独自の受診勧奨モデルを積極的に推進する方針にあり、「医師を交えた薬剤師教育も検討しながら、医療に近い距離で新しいタイプの薬剤師を育成していく」としている。


 また、同社では40店舗弱で進める24時間営業の状況を踏まえ、深夜帯の調剤運営に関して「採算的に薬剤師1人当たり8枚前後の処方せんが必要」との感触にあるが、新業態では都心における在宅医療・施設調剤対応の中核として機能させ、夜間に在宅処方の調剤を集中的に行うことで効率を上げながら薬剤師の勤務環境や体制整備を進める構えだ。


 新業態の船出を受けて池野隆光会長は、日本橋を舞台に24時間営業に乗り出すとともに、グループの人材教育と薬学生の実務実習に対応する象徴的な拠点を持つ意義を強調。当初ビル側から出店に難色を示されながら、そうした思い入れと従来にない都市型業態を手掛ける熱意に理解を得た経緯を通じ、「ここで成功すれば世界の何処の土地でも成功できる。日本橋から世界に飛び出す礎にしたい、ということで認められた。まだまだ粗削りだが、今後ノウハウを重ねていくことで目標が達成できるものと感じている」との手応えを寄せており、早くも来月下旬に京都の四条河原町で出店を予定する2号店以降の動向に注目が集まるところとなっている。

 

薬局新聞 2016年6月8日付