特約店方式をいち早く取り入れ市場実績重ねる トフメルA

「トフメルA」は発売元の三宝製薬が昭和7年、まさにトフメル本舗として誕生した社史に重なるロングセラー家庭薬。創業者の渡邊久吉氏は花好きで最初は花屋を始めたが、兄が新宿で開業していた病院を手伝い始めたことが同品の発端という。

 病院が作っていた外用剤の赤軟膏の幅広い効き目が評判で、これを病院経営の立て直しのために家庭薬として売り出すことを思いつき、今日に至る三宝製薬とトフメルAの発展に繋がっている。

 

シリーズ:新たな評価を得るニッポンの家庭薬

三宝製薬「トフメルA」

トフメルAのパッケージ変遷
トフメルAのパッケージ変遷

 

 名称は「塗布する」のトフと、固体が熱で溶けるmelt(メルト)から名付けられた。

「裸になるので皮膚病や切り傷が目につく」との考えのもと、商品をリアカーに積んで浴場を次々と開拓していったという発売当初の販促エピソードが秀逸だ。

 しかし、半年で百軒ほどの浴場に納めることができたものの売上は伸びず、その後は薬店ルートに着手。

 商品の良さと取り扱うメリットを説くことで取扱店を増やし、さらにそれが評判となって次第に薬局との取引も増えていった。

 また、当時業界が困っていた薬の乱売対策として、納入先を調整する特約店方式をいち早く取り入れたことでも支持を得て、取引軒数と市場実績を積み重ねたことが現在の同社の土台となっている。

 

 「トフメルA」の効能・効果としては、皮膚の殺菌・消毒、すりきず、きりきず、刺傷、ひび、あかぎれ、しもやけのほか、長年の実績に基づいた既得権としてやけどに対する効能・効果も有しており、市場全体にとっても財産と言える。

 ステロイドを配合しておらず、成分には酸化亜鉛、dl―カンフル、クロルヘキシジン塩酸塩のほか、患部の分泌物を吸収し治癒を早める精製ラノリンを配合している点が特長的なピンク色の軟膏は、世代を超えて今なおユーザーからの支持を広げている。

 

薬局新聞 2016年5月25日付