日本ヘルスケア協会が発足

 国策に据えられる健康寿命延伸の実現に向け、ヘルスケアに関わる分野の産業が横断的な連携を図る『一般財団法人日本ヘルスケア協会』が設立された。

 高齢社会に対応したドラッグストア(DgS)のビジネスモデルを模索する日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が呼びかけたもので、産業協議会とともに学会組織、議員懇話会を立ち上げて新たなヘルスケアの事業化に向けた調査研究や必要な法整備への政策提言を目指す。

 政府から健康寿命延伸産業の育成を掲げる方針が示されながら、既存制度の課題や予防・検査などに対する医師会の反発で目立った進展に至っていない状況に対し、広く社会を巻き込んだ働きかけに繋げる構えだ。


学会と産業協議会の両輪で社会的事業推進


 日本ヘルスケア協会は有識者や生活者代表による顧問会議、協力議員組織と連携した理事会のもと、業界活動を取りまとめる日本ヘルスケア産業協議会と、学術的側面を担う日本ヘルスケア学会を中核に諸事業を推進する体制を整える。


 主な協会事業としては、ヘルスケア分野の実態調査や産業化の可能性を検討する調査研究、ヘルスケア事業の実践に関わる制度・政策の建議提言事業と、産業界で具体的な事業推進を促す運動や、生活者への啓発を図る普及推進および情報活動を想定。

 来年3月までの初年度内に個々の活動計画を策定するとしており、来春からの本稼働を経た2年後をめどに公益財団法人への移行を果たす計画にある。


 2日に都内で開かれた設立総会において、暫定的な代表理事にマツモトキヨシホールディングス会長の松本南海雄氏(JACDS名誉会長)、産業協議会会長にウエルシアホールディングス会長の池野隆光氏(同副会長)、事務総長および理事長代理に宗像守氏(同事務総長)が就任したほか、理事には東京薬科大学・今西信幸理事長、日本一般用医薬品連合会・上原明会長といった薬業界の要人を中心に、スーパーや食品、フィットネスなどの業界から19人が名を連ねており、今月下旬に予定する第1回理事会で会長・副会長、部会長など正式な協会役員や運営規約を固める。


 また、顧問には元厚生労働大臣の坂口力氏、元消費者庁長官の阿南久氏が加わるのをはじめ、議員懇話会会長にDgS議員連盟会長を務める林芳正参議院議員、事務局長に秋元司衆議院議員と、現時点では実質的にJACDSの政治活動を移行した格好となっており、設立総会後の記念懇親会には業界に馴染み深い政治家や行政関係者が多数出席。

 「健康寿命の延伸は社会保障費の面からも大変重要。産官学が一体となってセルフメディケーションの概念を広げることが1つの大きな課題と認識し、政策を作る立場で活動していきたい」(林議員)との支援が改めて寄せられた。

JACDS 停滞する現状への打開呼びかけ


 協会設立に際して代表理事の松本氏は、関連業界が連携することで健康寿命延伸の実現を支えるヘルスケア産業の育成を目指す目的を説明するとともに、「一定の業界や団体に偏ることなく、また我田引水の理論に陥らないよう、産業協議会に加えて科学と産業の両面からなる学会、さらに有識者による顧問会議や議員懇話会の意見を聞きながら事業方針を決定し、強力に活動を行っていく」と、国と社会の要請に基づく開かれたヘルスケア産業化運動に繋げる展開に意欲を示した。


 そもそもJACDSでは店舗の同質化やネット販売の進展、少子高齢化に伴う市場縮小を受け、政府の健康寿命延伸政策に沿った提案型ビジネスへの転換を業界の次世代戦略に強調。市場性が期待される機能性表示食品、スマイルケア食(介護食)の登場を足掛かりに、店頭健診や顧客の健康情報を通じた新たな機能・サービスの検討に乗り出しつつあるが、検体測定室の活用に厳しい制限が加えられるなど、実際の取組み以前に制度環境的な限界を課題に抱える状況にある。


 設立記者会見で宗像事務総長は、「日本再興戦略のもとで様々な施策が各省庁で始まったが、3年目を迎えた今日まで実を結んでいない。古い行政や古い事業者の言い分だけが通っている現状に対し、産業界全体として声をあげ、生活者や医療、社会の理解を含めた一気通貫で確実に実行することが重要」と述べ、産業主導で現状の打開を図る協会の意義を訴えた。


 こうした設立経緯から、協会の普及推進事業では『セルフバイタルチェック』『機能性表示食品』『スマイルケア食』『受診勧奨ガイドライン作成』『事業者間および事業者・生活者間の健康情報システム構築』など、JACDSが今夏立ち上げたプロジェクトとの密接な連動が図られており、DgSの機能強化に絡めたヘルスケア産業への問題提起に対し、関連する産業・団体が今後どのように呼応してくるかが当面のポイントとなっている。


薬局新聞 2015年11月11日付