医薬品ネット販売は価格と大手モールが選択基準に

 くすりの適正使用推進協議会は医薬品ネット販売解禁後の状況に関する実態調査を行い、利用者が薬を選ぶポイントとして圧倒的に価格を重視する状況や、購入先についても店舗情報より大手モールで選択しているなどの傾向が浮き彫りにされたとした。

 実態調査を監修・解説した帝京平成大学薬学部の井手口直子教授は、「本来セルフメディケーションは生活者自身が選ぶことが前提だが、価格重視などの状況から少なくとも副作用や飲み合わせといった医薬品の特性を踏まえて選択する状況にない」との傾向を踏まえ、適切な認識・知識の啓蒙を強調している。


解禁半年後の実態調査実施


 調査は昨年12月、医薬品ネット販売が解禁された6月以降にネットでのOTC薬購入経験を持つ20~60代男女500人を対象に実施し、解禁半年後の実態を調べた。

 調査対象者におけるOTC薬の購入頻度は実店舗、ネットともに『2~3か月に1回程度』が約3割と主流となっているほか、頻回購入では同じく実店舗・ネットとも『1週間に2回以上』買う層が3%程度あり、一般的に薬と誤認される部外品なども含むとみられながらも一定のヘビーユーザー層が確認されている。


 昨年6月以降OTC薬をネットで購入した回数は『1~2回』57.8%、『3~4回』25.8%、『5~6回』10.8%。男女別では3~4回以上が『20代男性』72%(同女性60%)、『30代男性』68%(同43%)、『40代男性』65%(同25%)と、男性ユーザーの多さが目立つ。

 購入上位は(1)『ビタミン剤』34.2%(2)『風邪薬』29.8%(3)『鎮痛剤・解熱剤』29.6%で、調査報告では「定期的に使用する薬が買われている」印象を指摘する。

 その裏付けとしてネットでOTC薬を購入したきっかけの設問では、『定期的に使用している医薬品が切れそうになったので購入した』が58.8%と突出している。


 ネットではプライバシーの要素が強い薬にニーズが強まることも想像されるところだが、『実際の店舗では他人の目が気になる医薬品を購入した』は9.4%と少ない。

 この点について先ごろ都内で開いたメディアセミナーで帝京平成大の井手口教授は、「ネット上に履歴が残ることへの抵抗による影響が考えられる」との見方を寄せた。

 なお、店舗での購入上位は(1)『風邪薬』57.1%(2)『目薬』53.7%(3)『ドリンク剤・滋養強壮剤』45.6%と若干の差がみられ、こちらは「すぐ必要とするもの」との受け止め方にある。


ネット固有の問題が生じている可能性も


 ネット販売利用時にサイトを選択した基準を聞いた設問では、『大手オンラインモールに属す』が67.4%と圧倒的となっており、『運営店舗の情報充実』26.4%、『薬剤師名が確認可』13%といった信頼性・専門性に関わる要素は、『医薬品の品揃えが良い』35.6%、『日用品などの購入で使い慣れている』31.2%といったことよりも下回っている。意外に『検索すると上位』といったことが14.6%に留まったことも、大手モールの影響力が強調されるところと言える。


 また、予想どおりネット販売でOTC薬を選ぶポイントは『価格』が65.6%を占め、続く『効き目の強さ・穏やかさ』44.8%、『商品名』35.2%、『メーカー』33.2%などを圧倒。

 『副作用』16.2%、『他の薬などとの飲み合わせ』9.2%といった薬固有の要素が低い様相も含め、ネットでのOTC薬購入先の選択や方法について井手口教授は「少々ショックを受けた」とした。


 利用で困ったことに対する設問では、『特にない』が61.6%と概ね問題なく推移していると言え、同様に今後の利用については『積極的に利用したい』64.8%、『時々なら利用したい』22.8%、『何かのついでがあれば利用したい』9.6%と、継続利用の意志が9割を超えている。


 ただ、井手口教授は困ったことの設問で2%程度と少ないながら、メールフォームで『相談・質問したが返って来なかった』『相談したいことが伝えきれなかった』、また薬剤師・登録販売者といった専門家に関して『直接話して相談したかった』なども寄せられている点に着目し、「実店舗にはないネット固有の問題が生じているとすれば数に関係なく考慮しなければならない」と強調。

 販売制度が適正に運営されるため、薬局や薬剤師などの専門家が積極的に働きかけるべきとの姿勢を訴えた。


薬局新聞 2015年3月11日付