【薬局レポート】ウエルシア東大和立野店(東京都東大和市)

 今月からタキヤとシミズ薬品、9月にはCFSコーポレーションとイオングループのドラッグストア(DgS)が合流する形で目標としていた“日本一”の達成を果たす見通しにあるウエルシアホールディングスは、昨年9月の事業会社統合以降、『調剤併設・化粧品対面販売・深夜営業』を基本とする旧ウエルシア関東政策の全店統一を加速している。

 消費増税に伴う厳しい市場環境もあり、現時点は経費が先行する生みの苦しみの段階にあるが、「改装店舗では順調に成果が出てきている」と今日の成長を導いた成長モデルへの自信を揺るがせない。

 業界トップ奪取を目前に控えた現場の状況について、旧高田薬局からの改装で常勝パターンへの転換に手応えを掴む象徴的な店舗・東大和立野店を取材した。


ウエルシアモデルに完全転換果たした新店舗

 

 同店が構える東京・多摩地域北部の東大和市郊外は、モノレールや主要幹線道路沿いに大型都営住宅やマンション、学校、病院といった都市機能が整う好立地で、周辺数km範囲にはマツモトキヨシ、サンドラッグ、ウェルパーク、ハックドラッグといった主要なDgSが顔を揃え、当然ながらスーパーやコンビニなども多い。

 平成16年に開業以来、10年近く高田薬局として凌ぎを削ったのち、昨年4月に全面改装を経て同社初のウエルシアモデルへの完全な転換が図られた。

全面改装により高田薬局からウエルシアモデルとして転換
全面改装により高田薬局からウエルシアモデルとして転換

 改装の筆頭にあげられるのは調剤室で、約250坪の売場奥から入口脇に移設するとともに規模を倍に拡大。

 薬局を前面に押し出すことにより、応需処方せん枚数は月200枚→500~600枚、新患数2.5倍に成長し、昨年12月実績で約5000万円・前年同期比116%という売上全体の2桁増推移を牽引している。

 物販実績だけでも113%、買上点数6.3点→6.5点、1日平均客数740人・110%と同社が自負する模範的な改装効果を発揮している。

 「以前はPBの推奨を中心として安さに力を入れていた感じだったのに対し、名の通ったNBの陳列を行い、意識的に比較提案を促す取組みによって販促が増しました」と、片山有希店長は現場レベルの実感を説明する。

 

 もともと高田薬局はPB推奨路線の背景でもある接客力を身上とし、同店の売上に占める医薬品のシェアは17~18%と以前からグループでも高水準にあった。

 「PBの縮小で若干落ちたものの今も15%程度と高め。ここに調剤の相乗効果が加わり、また化粧品のカウンセリング販売を取り入れたことで専門性が強まっていると感じます」など、競合店対策や顧客への訴求の方向性が微妙に変化している様子をうかがわせる。


日本一に向けて高まる現場のモチベーション


 改装効果は店作りや商品政策だけでなく、Tポイントとイオンの電子マネー・WAON導入による後押しも大きい。

 旧ウエルシア関西の店舗などではポイントカードや販促企画の転換で一時的に顧客の混乱なども発生しているようだが、本部では「同店周辺は特にTポイント会員世帯が多い地域で、劇的な調剤実績の拡大にも結びついている」(広報)としている。


 加えて旧高田薬局出身の片山店長は首都圏に馴染み深いウエルシアに変わった効果もあるとしながら、「自分たちとしては特別な印象はない」と、屋号の変更そのものに特段の感情はないという。

 こうした現場の意識に関してウエルシアHDの水野秀晴社長は、「推奨品もかなり変わったので最初は戸惑ったようだが、商品政策を合わせるなかで事業会社間の垣根がなくなり、新たに色々なことに取組める雰囲気でモチベーションが上がっている」との感触を強調する。

 今期第1四半期の同社決算は、経営統合や消費税増税対策に追われるなかで改装作業が難航し、高田薬局とウエルシア関西の既存店実績が増税以降12月まで前年割れが続いたことで売上・利益ともに計画を下回っており、今年に入ってようやくプラスに転じている。

 決算説明会で池野隆光会長は、遅れていた高田薬局の改装も半分完了し、順調に成果が出てきていることを強調。

 日本一の基盤を作り上げた鈴木孝之名誉会長の死去から丸1年近くを経て、「経営統合後も今までのやり方を変えずに会社が動いていくよう、名誉会長が基本理念に掲げた『差別化をもって戦わずして勝つ』を今年から社訓として全事務所と店舗に張り出した。全社員でこのビジネスを発展させていく」との意気込みを寄せた。

 この社訓の浸透も改装によるウエルシアモデル統一の重要な要素となる。

 

薬局新聞 2015年3月4日付