薬剤師主導でリフィル導入議論を

 先ごろ都内で開かれた第9回日本薬局管理学研究会年会に際し、『リフィル処方の可能性と共同薬物治療管理の実践』と題した討論会が企画された。

亀井美和子教授
亀井美和子教授

 政府による経済財政運営と改革の基本方針で、調剤にリフィル制度を検討する方向性が示されたことを背景に、「薬剤師主導で導入議論に働きかけるチャンス」(日本大学薬学部・亀井美和子教授)との機運が高まっている。

 ただ、討論会では現場薬剤師の声として実際の展開上の課題や、薬局業務の本質に関わる部分も指摘されるなど、現実にはそう簡単に進むわけではないとの実情も浮き彫りとなった。

 

医師との共同薬物管理を視野に可能性提示

 

 討論会ではまず、リフィルが調剤業務で当たり前に取り入れられる海外諸国を例に、かねてから日本での導入の必要性を提唱する日大薬学部・亀井教授がリフィル調剤の概要を解説した。


 処方せんの繰り返し利用によるリフィル調剤は、受診の物理的問題などを踏まえた医療アクセス確保と服薬継続の観点から、病状が安定した慢性疾患患者を中心に薬物治療が受けやすい環境を提供することを目的に、アメリカで60年以上の実績を持つほか、フランス、イギリスでは2002~2004年にかけて制度化されている。

 

 長期の投薬に薬局薬剤師が介在することでは残薬管理をはじめとする適切な医療の検討や、医師の負担軽減・診療報酬適正化などでの貢献もあげられることから、近年の傾向として亀井教授は「当初目的の医療アクセスや薬剤給付よりも、薬局薬剤師による慢性疾患患者の薬物治療管理にシフトしていると感じる」と解説。

 慢性疾患患者の処方の過半数がDo処方となっている日本の調剤事情からも、医師との共同薬物治療管理を視野に入れたリフィル導入による可能性を提示した。

 

 このような論点は今春の調剤報酬改定をめぐる中医協議論でも浮上し、財政上の課題である残薬調整面で分割調剤を発展させる手法が取り沙汰された経緯がある。

 同じく検討会でオーガナイザーを務めた東京薬科大学の土橋朗教授は、次回改定では明確な形で方針が示されるとの展望を述べる一方、現状では分割調剤の実績が非常に少ない点に対し、「90日を超過した処方が多くなくても、いわゆるDo処方・漫然投薬が日常化するなかで薬剤師が本当に介入しているのかが指摘される」と問題提起した。

 

 長期処方となる上位薬剤には降圧剤、高脂血症薬、痛風・高尿酸血症薬、糖尿病薬などがあげられるが、そうした調剤業務の実態から土橋教授は「これらの患者に薬学的モニタリングが必要ないと判断をされているのが現状。単なる数合わせの残薬管理ではなく、一歩踏み込んで医師の再診料をダイレクトに奪う以上の成果を見出さなければリフィルは実現しない」とし、分割調剤における継続可否の判断を薬剤師が行えるかどうかがポイントになるとの考え方を示した。

 

今後の薬局のあり方や存在にも波及

 

 一方、討論会に参加した現場の薬剤師からは、「患者に分割調剤を勧めようと思っても、再び来局するかわからず、また近所の薬局には薬がないと言われる」といった現実のほか、薬局薬剤師による判断には患者への聞き取りとともに、測定や検査データの取得といった機能面に関わる課題もあり、「理想はそうでも実践するには様々な法改正が必要で、一足飛びにリフィルを目指すには課題が多すぎる」など後ろ向きな声も目立った。
 加えて分割調剤は客観的に期限を切って患者を来局させる手段ともなる点において、「本来は何かあれば気軽に相談できる薬局があるかが重要。かかりつけ薬局の条件が整っていれば必ずしもリフィルにこだわる必要はない」など、そもそもの薬局のあり方に関わる意見も出された。

 

 実際、日大の亀井教授は過去に行った実態調査から、長期投与期間中の薬剤の中止・変更や副作用の発現などを多くの薬局薬剤師が経験しながら、「それは新規の処方せんを持ちこまれた時に知る場合が目立ち、薬剤師が発見することがない」点を強調。同時に長期投与に少なからず問題がある状況も露見していることで、「患者の治療に薬局がどう関われているかが問われている。長期処方に伴う薬物治療上の問題はあり、それを薬剤師が関与することで見つけられるという前提での分割調剤、リフィルに向き合うべき」との意識を改めて訴えた。

 

 総括として東京薬科大の土橋教授は、長期処方に対する薬剤師による介入が今ひとつ進展しない現場の実態を認めながら、かかりつけ薬局の存在感を高める本質的な働きかけの意味からも、「無理やりにでも介入していくチャンスを作る機運を高めなければ、保険薬局の薬剤師が医師との共同薬物管理や本格的な在宅医療業務に乗り出せない」との危機感を通じ、引き続き現場から積極的なリフィル議論が図られるべきと呼びかけた。

 

薬局新聞 2014年7月9日付