2014年

4月

03日

災害弱者となる患者は自分自身での備蓄も

 自然災害などの発生に備え、てんかんなどの見過ごされやすい疾患を持つ患者は余分に薬を持つことも重要。

 国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター神経内科の小出泰道氏は、先ほど開催された日本集団災害医学会総会・学術集会のランチョンセミナーの中でこのように指摘した。

 

静岡てんかん・神経医療センター 小出氏が講演

 

 小出氏はてんかん有病率は人口の0.8~1%で日本には約100万人ほどいる計算になり、先の東日本大震災における避難者が47万人であったことを踏まえると「被災地にはてんかん患者が3700人~4700人程度はいたのではないか」との見方を寄せる。

 所属する静岡てんかん・神経医療センターは専門医18人、てんかん診療に従事する看護師約100人を抱え、国内でも有数の医療体制を備えており、東日本大震災の際も専門医機能を備える災害医療救助班として活動に従事。

 3月16日から21日までの約1週間にわたりてんかん診療に携わったものの、「地元医師の疲弊をはじめ、広範囲過ぎる避難所のため医療アクセス方法の不足、医療情報の供給不足、薬剤の需要・供給のミスマッチなどが起こった」と振り返る。

 

 このうち特に課題点として浮かび上がったのが、疾患をこれまで隠してきた患者の避難所での心理的負担だという。

 「てんかんは漢字で癲癇と書き、癲という字は気がおかしくなったような意味合いが含まれており、現在でも非常にマイナスなイメージがある。震災前までは薬でコントロールしていた患者が、薬が切れたことにより避難所などで発作を引き起こすと大変な影響が考えられる」と指摘する。

 また情報ネットワークが寸断されているため「患者が薬を探していても誰に聞いて、どこに取りに行けばいいのか全くわからない状態だった」とし、さらに「医療チームとしても自分が使用していた抗てんかん薬を持っているとは限らず、供給のミスマッチがあった」と続ける。

 

 そこで同氏は避難所の一箇所を拠点とし、そこから各避難所に赴く形式を採用。

 その際に気付いた点として「てんかんの専門医であることが他の災害医療チームに浸透してくると、患者さんの前で呼ばれるケースなどが散見し始め、てんかんを持っていることを流布して患者さんに多大な精神的負担を強いてしまうことがあった。医療者としては声をかけているだけのつもりかもしれないが、結果的には潜めていた罹患の事実を広めてしまうことに繋がってしまった」と語り、被災地におけるてんかん医療の難しさを強調する。

 

 こうした事態を受け医療関係者に対してもてんかんの患者が来た際の対応方法を配布し、患者が医療を躊躇なく受ける環境作りのためにテレビやラジオでのテロップ・呼びかけも重要であると述べた。

 大地震以外にも同氏は「先日の大雪など自然災害は増加している傾向にある。

 処方医と相談して、予備の服用薬を日常的に備えて置くことも重要になってくる」と提案し、発作をコントロールするためにさまざまな可能性を考慮することが必要と訴えた。

 

薬局新聞 2014年3月26日付