2014年

4月

02日

震災によるストレスは一層複雑に

 東日本大震災から3年が経過したが、被災したことによるストレスは時間の経過とともにより一層複雑な状況になりつつあるようだ。

 先ごろファイザーが実施したセミナー『震災4年目を迎える被災地の現状とこころのケアの課題』によると、時間経過とともにストレス要因が多様化してくると同時に、「避難した・避難しなかった」双方の立場で自身を責めるような心理状態に陥る傾向が示されているという。

 

被災者のこころのケアに関するセミナーより

 

 兵庫県こころのケアセンター・加藤寛センター長は、避難生活の長期化による影響が示されつつある現状を報告しながら、「避難者の背景が多様化しているうえ、原発被害の方は故郷に戻れないという悲劇に見舞われている。

 時間とともに何がストレスなのか曖昧になっていくことで、さらに精神的に厳しくなっていく」と語り、東北特有の我慢強さも裏目に出ている状況を指摘。

 精神科の受診に抵抗感がある被災者も多く、「避難したうえに精神科を受診することが受け入れられない」結果に繋がり、アルコール依存や自殺まで発展してしまう事態に陥っていると強調した。

 

 福島県立医科大学医学部の前田正治教授は、ストレスの対象は地震よりも原発によるものが多いと述べ、例えば西日本へ避難した際には「福島から来た」というだけで偏見を抱かせるリアクションを取られることがあるとし、震災から3年が経過するなかでも正しい情報が伝わっていないことへの懸念があるとした。

 

 また、避難先から故郷に戻ったときに「大事なときに逃げた」といった深層心理にあるわだかまりから「以前のように接することが難しくなった」ことも。

 逆に残っていた世帯では「子どもを被ばくさせてしまった」といった罪責感にさいなまれることもあったりするなど、被災者に多重の精神的苦痛が生じていると訴えた。

 

 加えて通常の被災地支援は2年程度で区切りを迎えることが多いが、「東日本大震災の被災地はこれまでとは違い、かなり長期的な支援が必要」(加藤氏)、「原発による避難者の方たちにとっては廃炉作業が完遂するまでストレスは消えないだろう」(前田氏)と長期継続的な復興対策が求められると述べた。

 

薬局新聞 2014年3月26日付