“調剤料一本化”に「影響なし」

 調剤基本料は一本化しても数値的にはほとんど影響はないが、感情論としては思うところはある――。

 

 東京都薬剤師会の山本信夫会長は、先ほど開催されたグッドサイクルシステム主催のセミナーでこのように講演し、調剤報酬改定、医薬分業、在宅医療などに関しての知見を披露した。

 周知のとおり中医協や社会保障審議会など診療・調剤報酬改定議論の先頭に立っていた同氏の“基本料一本化”発言は、議論が深まりつつある改定論議において、一定の影響を及ぼすこともありそうだ。

 

薬剤師職能におけるエビデンス実証が課題

 

 調剤基本料について山本会長は、都薬会員926薬局を調査したところ40点を算定しているのは94.76%で、特例調剤基本料24点を算定しているのはわずか5.2%に過ぎない現状から、「この割合を処方せん全体数である8億枚で換算すると、恐らく30~40億という数値が出てくるに留まり、想像より影響は少ない」と分析。

 

 想定された大手門前薬局などには効果が薄く、結果的に昔から地域の診療所に対応する中小薬局の経営を苦しめている可能性を強調するとともに、「数値だけの話ではなく、感情論としては(大手門前薬局に)40点もあげたくない」とも付け加えた。

 

 また、昨今の分業批判については「分業の仕組みに対する意見と、調剤報酬に対する意見が一緒になっている。一般論として料理には時間と労力をかければ賞賛されるが、なぜ医療で同じことを行うと批判されなくてはいけないのか。専門家が管理することで費用が発生するのは当然のことで、大手調剤薬局が儲け過ぎているからおかしいとされるのはどうか」と語り、議論に整理が必要との認識を示した。

 

 しかしながら分業の伸長で疑義照会を躊躇するような実態があげられることに関し、「薬剤師は医師に疑問を投げかけ、医療へ歯止めを掛けられる唯一の専門家。医師からの問い合わせが怖いというのは医療人としての役割を放棄するのと同じ」と述べ、こうした批判の矛先として薬剤師の姿が見えないと揶揄される点に対して「見られないことの裏返しだと思う。見える形での職能が必要」と話した。

 

 次回改定については、在宅医療の方向性がより一層強まってくると展望。具体的な施策として、「チーム医療が進むことは明らかで、国もそこに向かって歩んでいける医療職を支援することは間違いない。

 

 ただ、これまでの分業のように『儲かるのか』はわからないし、そもそも儲からないからやらないでは医療の世界から退席を願われる」と警鐘を鳴らした。

 

 現状の処方せん調剤に偏った状態は、「10年間伸長してきたことに妄想を描いていないか。国民から信頼を得ながら成長してきた医療なら今後も発展を続けるが、薬局の都合だけで伸長したのであれば、これだけ医療費が問題になっている中で早晩に衰退することもありうる」との見方を示し、コンビニよりも数が多いことを活用した健康支援拠点との機能を前面に出していくことが重要であると語った。

 

 山本会長は、直近の改定への対応とともに今後も継続して行われる2025年までの社会保障改革に則した内容に変化し続けなければならず、「例えば医療費削減という言葉が用いられているが、後発医薬品を使用することなのか、長期収載品による医療費削減なのか。細部かもしれないが、薬剤師ならではのエビデンスを用いて実証していくことが求められる」などと訴え、地域の医療提供体制確保と医薬品の適正使用の啓発に改めて注力すべきと述べた。

 

薬局新聞 2013年11月13日付