「医薬品ネット販売が経済成長に資することはない」

 政治決着に持ち込まれたことで業界にとって言わば理屈の通らない状況を迎えた医薬品ネット販売問題だが、具体的な手法をめぐる今後の展開も踏まえ、安全性を焦点とするこれまでの主張とともに改めて論点を整理したうえで対策を講じる必要があるだろう。

 薬局経営者の団体である日本保険薬局経営者連合会(薬経連、山村真一会長=川崎・プライマリーファーマシー)は政府の成長戦略に際し、OTC薬ネット販売解禁が「成長に資することはない」という理由で反対する意見書をまとめている。

 安全性以前の問題としてネット販売市場の実情や医療費抑制問題、医薬品の流通事情に基づく主張は薬局発の経済的視点での提言として興味深い。

薬経連・経済的側面から意見書公表

反対意見通じて薬局の有効活用への提案も

 薬経連が公表した『経済成長戦略としての医薬品及び健康食品に関わる流通の規制緩和についての意見書』は、大まかに医薬品ネット販売解禁が経済成長に繋がらないこと、また解禁に伴う高リスクOTC薬の処方せん薬化、いわゆる医師会が指摘する“スイッチバック”も「逼迫する医療費の不 適切な配分」になるとの理由で反対を表明するほか、規制改革会議で議論されている健康食品の機能性表示に関する見解、医療崩壊の解決策としての薬剤自己負担率の変動化に対する提言の4項目からなる。

 まず、ネット販売解禁で医薬品の流通チャネルを緩和することについては、「売上高の企業間の配分が変わるだけ」「国内企業の成長要因とはならない」との考え方を示している。

 現在ネット販売最大手としてアメリカに本社を置くamazonがあげられるが、仮に今後OTC薬のネット販売でも市場の主導権を握ることになった場合、国内通販サイトの実績増以上に「売上高が国内企業から海外企業に移転するため、現在の通販市場の環境下で我が国の経済成長に資することはないと予想される」との指摘は一定の説得力があると言える。

 さらに別の角度から、「医薬品供給の歴史を辿ってみると、私たちの業界はこれから訪れるであろう未来を既に経験済み」として、医薬品ネット販売が医療費増加に結びつく構造的問題点もあげている。

 “未来を経験済み”とは、DgSの台頭で町の薬局がOTC薬販売を縮小していった今日の状況を指す。「今後ネット販売が拡大すればDgSもかつての薬局と同じ道を辿り、OTC薬での採算が取れなくなってしまい、在庫を維持できなくなる。その結果、消費者はOTC薬の購入に困難を極め、軽微な疾患でも医療機関を受診せざるを得なくなってしまうことが十分予想される」。

 この延長線上で販売高をいかに増やすかではなく、いかに医薬品を使わずに済ませるかという薬局の本来あるべき経営努力にも言及し、「不良在庫を消費者に売りつけるようなインセンティブが存在してはならない」と警告。同様に在宅医療の推進を通じて薬剤師が医薬品適正使用へ積極的に関わり、無駄な残薬事情を是正することで医療費抑制に貢献する働きが期待されている状況もあげて訴えている。

 

薬局新聞 2013年7月10日付