最終的な結論は予想通り政治決着に

会場には報道陣も多く詰め掛け世間の注目度の高さをうかがわせる
会場には報道陣も多く詰め掛け世間の注目度の高さをうかがわせる

 これほど歩み寄りの無い検討会は初めてだった――。

 一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会は、5月31日に終了した。

●30時間の平行線、両論併記で区切り 一般薬インターネット販売等の新ルールに関する検討会

 

 出席した構成員のほぼ全てが検討会としての役割を果たしたか疑問を呈すなど、4年前のいわゆる桝添検討会ほどの乱戦ではなかったものの、最後までネット販売推進派と慎重派による建設的な意見交換が行われなかったことに対する不満を窺わせた。

 

 座長である学習院大学経済学部の遠藤久夫教授は、ため息交じりに冒頭のコメントを発したことがその象徴とも言える。また当初から政治決着の様相が強すぎた感も否めず、関係者のガス抜きと揶揄されるなど、新しいルールを作ろうとする前向きな雰囲気を作り出すことができなかった厚労省に対しても失望が広がった。

 

●最後まで建設的な議論無く「歩み寄りのない検討会」に

 

 最終的な販売範囲の結論は政治決着に持ち込まれたが、会合ではコンセンサスがとれた事項が僅かながら存在している。

 それによると、インターネット販売を実施するにあたっては、「行政手続上の薬局・薬店の許可を取得した有形の店舗」であることが確認された。店舗とは“実態があり外部から見て明確に販売店だと判断できる状態のもの”で、例えば「山の中に登記があり、実態としては倉庫から販売している」ことは認められない方針とした。加えて利用者が実際に来店して購入することなどが行えることも求める。

 

 さらに実際の薬局・薬店同様に許可証を販売サイトに分かりやすく表示することも義務付ける。なお販売サイトが正当なものであることを示すロゴなどの運用方法については今後の検討会などでまとめる。

 専門家の確認方法に関しては、氏名等が記載される薬剤師免許証の画像や厚労省の薬剤師資格確認サイトとのリンクも行われることになっているが、検討会でも「厚労省が運営している資格確認検索は、管理が不十分な状態。一度登録されれば申請しない限り、亡くなっても登録としては残っている」(日本薬剤師会・生出泉太郎副会長)と指摘される場面があり、早急な体制構築が求められることとなった。営業時間内に配置されている専門家について、利用者が電話などで確認できる方法に関しても詳細を詰めることとした。

 

 薬局で実施されている医療用医薬品のいわゆる零売について、東京都福祉保健局薬務課の野口俊久課長から「専門家が客の目の前で箱から出して、購入希望者がこれを目視してから販売する手法であるが、これをインターネットで実施することは不可能」との考えが示されると、生出副会長も「あくまでも零売はやむを得ず小分け販売している状態であり、これをインターネットで認めると医薬品小分けオークションが行われる」との危惧が示されると、特段の反対意見が示されなかったことで座長は「この課題には合意が形成できた」と結論づけた。

 

 新しいルール作りに際しての最高裁判決の捉え方については、オンラインドラッグ協会の後藤玄利理事長が求めた「特に立法事実については、単なる観念上の想定では足りず、確実な根拠に基づく合理的な判断が必要となる」との文言を記載することを確認した。

 

●厚労省は次の検討会を示唆

 

 このほかの項目については全て両論併記として報告書に記載されることとなり、最終的な販売範囲は政治決着を求めることとなった。ECネットワーク理事の沢田登志子理事からは、「政治に任せるのは反対。議論を続けるべき」といった意見があげられたものの、インターネット販売推進派と規制派の意見が最後まで平行線を辿った形だ。日本医師会の中川俊男副会長は「前回の検討会でもネット側は考えはコンクリートだと主張された。案を受け入れろだけでは、議論ができない」と語ると遠藤座長も「私もさまざまな場所で座長を務めさせてもらっているが、ここまで歩み寄りの無い検討会は初めて」とため息交じりにコメントし、両論併記は全体の反省点として全員が受け入れるべきとして、懸念事項のほとんどに対して考えをまとめないまま終了した。

 

 その一方で、厚労省は検討会後の囲み取材で政府の動きに合わせた議論を行っていたことを示唆し、細部については「新たな検討会を立ち上げるのか、引き続きこの検討会で議論するのか検討する」と述べ、事実上7月の参院選挙後にも検討会を開催することを明らかにした。

 

薬局新聞 2013年6月5日付