【薬局レポート】駅クオール薬局(大阪府大阪市)

駅クオール薬局1
JR大阪駅の駅ナカにオープン

駅クオール薬局 JR大阪店

(大阪府大阪市)

 

  クオールとJR西日本の業務提携による「駅クオール薬局JR大阪店」が4月8日にオープンした。“駅ナカ”という特殊な面分業展開で初日から1日5枚程度の処方せんが持ち込まれ、目玉の1つに据える小包装の薬局製剤、また薬剤師が朝から晩まで常駐する相談対応に対して顧客・医療機関から早くも一定の評価を得ている模様だ。門前とは異なる新たな立地戦略として、鉄道ネットワークにおける薬局機能の確立に意気込むオープン1週間の状況を取材した。

 

好調な立ち上がりの“駅ナカ薬局”1号店

 

 同店が出店したのは大阪駅1階・中央南口から徒歩10数秒の一等地ながら、百貨店などで賑わう方面とは逆側となり、人の流れが分散する比較的落ち着いた物販エリア。「薬局の性格上、アパレルなどと並べたり、あまり賑やかな状況はプライバシーの面からそぐわない」(JR西日本デイリーサービスネット開発本部=JRDSN)ことを考慮したロケーションだ。

 

 30坪の売場は角地を利用して入口とレジを2つ設け、一方から入ると調剤の受付・相談カウンターやOTC薬棚、もう一方はドリンク剤やサプリメント、雑貨などの物販といった形で顧客の使い勝手に応じた店作りにある。物販とは言ってもハーブティや栄養スナック類、リラクゼーショングッズ、UVなどのケア用品といった主に働く女性向け商品に絞り込み、薬局製剤の見本を各所に大きく展開する内容面からも、一般的な駅ナカドラッグストア(DgS)とは一線を画す薬局としての印象を重視した店作りが窺える。

 

 また、現時点では認知促進のために薬剤師常時3人以上の体制で積極的に声かけを図っていることもあり、顧客の反応は薬剤師に向けられている。「慌ただしいDgSと異なって『じっくり話を聞いてもらえて良かった』と喜んで頂く姿が目立つ」と、クオールの島田大亮新業態第2事業部長は駅ナカ薬局の需要を強調する。「こうした立地でも自分で薬を選んで買う、という間にワンクッション薬剤師による相談を挟む意義は大きい」。

 

 移動や買い物中などの体の変調への対応を目的に取り入れた薬局製剤(風邪や鎮痛、胃腸など内服8・外用4の12アイテム)も、「市販薬と異なる外用薬の使い心地を気に入ってもらえたり、自分が良かったからと風邪薬を友人に勧めたりと、この一週間で既にリピーター層が出てきている」という。物珍しさもあるだろうが、1日分容量からの手軽さや薬剤師の信頼感を打ち出す試みに手応えを掴んでいるようだ。

 

中核ターミナル薬局としてハブ的機能を検討

 

 オープンに際しては周辺の医療機関関係者に内覧会を行い、西日本最大のターミナル駅での面分業展開を踏まえた大型門前並みの約2000品目の備蓄、また自動調剤機器や事前FAX、携帯メール呼び出しといったITによるサービス体制をアピールしており、処方せんの受け皿としても「『毎日長時間(7時~22時)開いているなら安心して出せる』との言葉を頂いている」と好感触を示す。

 

 そもそも1日80万人超の流動人口に比例して大阪駅周辺には数多くの病医院が集結していることから、まだ認知がない中でも1週間で1日5~10枚程度が持ち込まれ、道行く人から『処方せんもやっているらしい』との声が聞かれる状況にある。

 

「認知促進とともに在庫問題、患者の信頼獲得が課題だが、近隣にあるグループ薬局とのネットワークの活用や、OTC薬販売・相談対応、そこでの医療との橋渡しを通じて存在感を高めたい」。

 この方針は薬剤師のモチベーションを伴った形で手応えに比例している。薬局長の廣元由香里さんは、同社初の本格的なOTC薬販売、薬局製剤展開をはじめ従来の調剤薬局勤務とは全く異なる業務に戸惑いを寄せながらも、「処方せんが少ない段階こそ、積極的に前へ出ていくよう心がけている。患者に限らず幅広い人の健康支援に役割を見出したい」と語り、薬局としての評価や実績に結びついていることを窺わせる。

 

 JR西日本では「計画水準以上の立ち上がりで、特に処方せんは半年後には安定的に集まるとみている」(JRDSN)とし、初年度にも年商1.5億円/処方せん応需月1000枚規模と想定する目標数値に近い実績を達成する見通しだ。平行して3年計画で10店舗程度を目指す多店舗展開に関して「1店舗では駅ナカのビジネスモデルにならない。環状線沿線を第1候補に可能な限り早期に乗り出す」としている。

 

 駅ナカ薬局の話題性により、分業率的に潜在市場が多く残される西日本エリアでの事業拡大効果も期待するクオールとしても、「ここ単体で処方せんを集めるのではなく、近隣のグループ薬局と患者を繋ぐハブ的な機能も検討していく」(広報担当)構えにある。OTC薬販売を中心とした物販ノウハウや薬剤師のスキル底上げへの思惑も踏まえ、先行するローソンやビックカメラとの複合業態展開とともに今後の事業展開を占う重要な取り組みとなるのは間違いない。

 

『薬局新聞』2013年4月24日付