薬剤師が本気で取り組むサプリメント

サプリメント販売を薬局の個性に
サプリメント販売を薬局の個性に

【話題】サプリメント販売を薬局の個性に ~トモニティ薬局のケーススタディ

 

 薬局における収入のほとんどが保険調剤によるところが大きいのは、周知のとおり。同時に多くの薬局がその“一本化”に対して悩みを抱えていると言えよう。OTC薬やその他サプリメントなどに着手しようにも、数ある製品の中からの選び方や販売方法など、調剤とは違ったスキルが求められる。一方で薬局という医療提供施設が販売することはそれだけで付加価値があり、生活者へのアプローチ次第で経営的な支えになることのみならず、地域生活者との距離感を縮める一手になることは間違いない。ここでは自社開発のサプリメント販売などを展開する「トモニティ薬局」の実例から、薬局におけるサプリメント販売を考察したい。

東大と連携しオリジナルサプリを開発

 保険調剤業務を中心に関東地方などで100店舗以上の薬局を展開するトモニティ。経営理念として“街の健康応援ステーション”を掲げており、「事業が保険調剤にばかりになることは、薬局として片手落ちの状態になる」(同社の木下弘貴社長)との考えから、数年前からサプリメントをはじめ、オーガニック化粧品やアロマオイルなどの取扱いに乗り出している。

 

 同社ではその象徴的な店舗として今春さいたま新都心の商業施設内に「トモニティ薬局」を開設。物販部門の展開にこだわりを見せている。同店で扱うサプリメントの中でも、特に注力しているのが、木下社長が立ち上げた別会社と東京大学薬学部で発見・製品化に至った『ブロリコ』だ。その名称からイメージされるようにブロッコリーから抽出された成分をタブレット剤にしたもので、動物実験や人への臨床試験では、自然免疫力を活性化することに寄与することが示されたという。さらに成分の発見から製品化に至る過程で、「成分を安定的に抽出する工場がなかったため、自社で工場を建設した」(同氏)ことからもその手応えが窺える。この背景について聞くと、「メーカーとしてしっかりと製品を販売しなくてはいけません。東大薬学部の方と協力して開発しました経緯から、エビデンスはあると自負しています」と強調する。

 

 オリジナル製品を販売することは簡単ではないように思えるが「結局、既存の有名成分ですと、含有量と価格でしか違いを表現できなくなりつつあります。ここの薬局で買う製品とDgSで買う製品を並べて違いについて語っても、サプリメントは僅かな違いしかありません。そうした取組みで悩むよりも、新成分を推奨するほうがいいとの判断です。トモニティ薬局に来なくては買えない製品があるというのは魅力だと思っています」。

 

現場の薬剤師が製品選択し生活者の信頼厚く

 

 オリジナルサプリメントを販売するのみならず、スタッフ一人ひとりがチョイスした特徴的な製品も陳列している。同薬局の製品棚は独自色溢れるラインアップとなったが、そこまでの経緯は決して平坦ではなかったと同氏は述懐する。保険調剤以外の事業による収益バランスを求めるようになったのは5年ほど前に遡る。「当時は会社で選んだ製品を店頭で推奨する手法でしたが、現場のモチベーションが保てないところがありました。話を聞くと薬剤師が納得したものでないと、なかなか推薦できないところもあり、売上げにつながりませんでした」と振り返る。

 そこで同社として情報共有は行うが、販売する製品は現場で収集させる方針に切り替えた。一定の売上げを記録した店舗や独自性のあるPOPを作成したスタッフなどを表彰し、社員の自主性を促したというのだ。現場にある程度任せた売り方を社内で共有するなかで、ノウハウが徐々に構築されてきた手応えを感じていたという。

 

 木下社長はこのように語る。「薬剤師の方は業務イコール調剤という考え方があるかもしれませんが、現場で努力されている薬剤師であれば、お客様とコミュニケーションする能力はあると思っています。あとは活かし方ということでしょう。全くフリーで販売することは厳しくても、ある程度の道筋を店側で立てれば、大丈夫だと思っています。自分が使っている製品をカウンターに設置して、顔写真を貼り付けて『私のオススメ』と書いてあれば、患者さんとの会話も自然と発生します。地道なことかもしれませんが、薬剤師という職業自体の信頼度は高い。薬剤師が愛用しています、との言葉は内側が考えるより、信頼度のある情報として生活者には伝わっていると思います」。

 なお、同品は卸の東邦薬品を通じても購入は可能となっている。

 

 薬局側から生活者へ投げかけるという考えは、調剤専門薬局にありがちな、「処方せんを通じた関係性のみ」から「処方せんを含む関係」へと発展させるためのものだ。処方せん応需という「点」から、かかりつけ薬局になる「線」、そして日常的なコミュニティの一環となる「面」の関係まで発展させることを視野にいれている。それはまさに同社が掲げる「街の健康応援ステーション」として機能することを意味する。単なる物販としてのサプリメントではなく、地域に薬局を浸透させる意思を持った取組みに学ぶところは多い。