2012年

9月

10日

薬剤師とてんかん

交通事故との関連で社会問題にもなっているてんかん。薬剤師の関わりが注目されています。
交通事故との関連で社会問題にもなっているてんかん。薬剤師の関わりが注目されています。

 てんかん患者をめぐる課題は「支援体制」、「法整備」という疾患を持ちながら暮らす社会生活上の問題と、「疾病への理解」がほとんどを占めているという。

 法制度上、てんかん患者には、医療として「自立支援医療」と「難病指定」が認定され、福祉としては「精神障害者福祉手帳(精神手帳)」が発行される。ただ、精神手帳は身体障害者手帳などとは違い、受けられるサービス内容に違いが生じているのが現状だ。「身体障害者手帳」や発達障害者に発行される「療育手帳」は、JRや航空などの公共交通機関での割引が適用されるが、「精神手帳」はその対象とされていない。社会情勢として特に関心が高い自動車運転の是非に対しては、このような支援問題が根底にあると言っても過言ではなく、地方都市の患者ほど、悩みの色合いが濃いという。また、社会生活を送るうえで、広く取得できる身分証のひとつとして運転免許証を用している場合もあり、実際の運転の有無に限らず取得している人も少なくない。

 

 支援体制などが不十分なうえ、医療と薬に対しても漠然とした不安がある。てんかん治療に携わるある地方都市の医師は患者を取り巻く環境として、「治療代が払えない、医薬品の効能・効果への疑問など、とても満足していると言える状況にはありません」と語る。抗てんかん薬は薬物血中濃度の有効範囲が狭く、多忙な患者ほどコンプライアンスが低下しやすい可能性がある。実際にある薬局では、こんな患者に遭遇した。「服用している薬から判断すると、十中八九てんかん患者さんだと分かりました。ただ、薬について尋ねると曖昧な答えに終始し、どうも服用時間にバラつきがあるようで、医師に疑義照会して医薬品を変更してもらいました。ヒアリングの重要性を痛感しました」。

 

 前述の医師が所属する病院でアンケートを取ったところ、「患者が治療を拒否したり誤解、代替医療に没頭する」といった長期治療に対する煩わしさなどが精神的な負担になっている患者は多い結果が示された。

 「だからこそ、薬局・薬剤師がひと声かけるべきなんです」。ある開局の薬剤師は患者のコンプライアンスの低下には薬剤師が感じ取るべきと訴える。

 「抗てんかん薬だけでなく、ハイリスク管理薬に対しては、点数云々ではなく、服用意識が低下していると感じたのならば“ちょっとよろしいですか”と帰る間際にひと声かける勇気を持つべきだと思います」。

 

 傷ましい事故を経てクローズアップされた疾病とその患者に対して、薬局・薬剤師ができることは少なくない。一方で「ほかの利用者がいる待合室で服薬指導をされた」といった薬剤師側の理解不足の声もある。「薬は手に入るが治療が手に入らない」。患者団体が漏らしたひと言に対して、薬剤師としての答えを現場で示したい。