城西大学×JACDS 薬学生のドラッグストア体験研修を実施

調剤業務にとどまらないドラッグストアでの実務実習で薬学生が得た手応え
調剤業務にとどまらないドラッグストアでの実務実習で薬学生が得た手応え

 幅広いドラッグストア業務経験し薬剤師の可能性模索 城西大学×JACDS 薬学生のドラッグストア体験研修を実施
 城西大学では日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の協力のもと、薬学生にドラッグストア(DgS)での業務を体験させるインターンシップをカリキュラムに取り入れている。その目的について、同大薬学部薬剤学講座の細谷治准教授は「OTC薬をはじめ、サプリメントや化粧品、生活雑貨など幅広く取り扱うDgSにおいて、薬剤師がどのようにそれらと関わりあっているかということを現場での体験を通して知ることで、薬学生が広い視野を持つきっかけになれば」と説明する。生活者と接する機会の多いDgSでの経験は、特にコミュニケーション能力を養ううえでも、学生にとって貴重な勉強の場であることは間違いなく、今後そうした需要はますます高まっていきそうだ。

幅広いドラッグストア業務を経験し薬剤師の可能性模索

 今年で4回目となるこのインターンシップは、城西大学薬学部4年生の選択科目としてカリキュラムに組み込まれており、今年は学生44人が参加し、JACDSの会員企業21社、43店舗で実施された。5日間の日程で行われ、研修内容としては、商品の陳列やレジ打ち、客の誘導など販売業務全般を学ぶ。翌年には実務実習があるため、ここでは調剤以外の部分を経験することが目的となっている。

 実務実習では調剤薬局がメーンであり、調剤併設のDgSも増えてきてはいるものの、それでもDgSでの受け入れは少ないのが現状だ。細谷准教授は「調剤薬局だけではセルフメディケーションへの対応が不十分であり、OTC薬に対する考え方や顧客への対応もDgSのそれとは異なる場合がある」と説明。そうしたことから学生には、OTC薬から雑貨まで幅広く扱うDgSでの経験を通じて薬剤師がどのように係わっているかを知り、考えることの必要性を強調する。「これまで薬剤師があまり携わってこなかった部分をいかにして担っていくかで今後の医療も変わってくる。そういった意味でDgSの“伸びしろ”は多く、今回の研修では学生自らそれを体感し、自分たちが薬剤師になった際にどうやったら埋めていけるのかといったことを考えるきっかけにしてほしい」と述べ、広い視野を持ったバランス感覚のある薬剤師の育成とともに、薬剤師の職能向上のためのDgSの役割にも大きな期待を寄せる。

研修後にはドラッグストアで感じた印象や感想を情報共有

 一方でこうした研修は、学生のみならず受け皿となるDgS側にとっても日頃のセルフメディケーションなどに対する取り組みや理念を学生に知ってもらう良い機会といえる。実際、インターンシップを行った第一期生のDgSへの就職率は他大学と比べても高くなっているとのことで、そうした意味でもメリットは大きいといえそうだ。

 昨年からは、研修を終えた後に事後講習のようなものも実施し、研修で感じたDgSに対する印象や課題などの共有を図っているという。JACDSの小田兵馬副会長は「学生は、今回経験したことを将来にどう役立てるかが重要。現場ではマニュアルが通用しない場面も多く、特に幅広い対応が求められるDgSでの業務を経験することで、コミュニケーションの大切さなどを実感してほしい」と語る。薬剤師に対し指摘されるコミュニケーションについては、大学の授業で全てカバーできるというわけでは決してない。これまでの人生で培ってきたものや現場での経験が重要であり、こうした現場を経験する取り組みは大いに意味があるといえるだろう。薬学生とDgS、双方のさらなる向上・発展のためにも、今後もこうした産学の取り組みに大いに期待したい。

調剤以外の“薬剤師業務”考えるきっかけに

 学生に話を聞くと、現場を経験することでDgSに対するイメージの変化もあるようだ。東京都板橋区の『ミヤモト薬局』で研修を行った竹内優さんは、「健康や薬の相談にものっていて、想像以上に生活者との距離が近いと感じました」と感想を述べる。将来的には「患者さんに何でも話してもらえるような関係性を築ける薬剤師になりたい」という志を持つ竹内さんにとって、地域に密着した同薬局の取り組みは好印象だったようだ。

 そのような竹内さんの働きぶりに「すごくテキパキとしていて、こちらもいい刺激になります」と話すのは同薬局の松枝洋介副店長。「学校で得た知識と現場で感じたことを活かし、生活者やスタッフから信頼される薬剤師さんになってほしい」とエールを贈る。松枝氏は、研修に対しても非常に好意的で「現場に就職した薬剤師さんの中には、例えばお客さんとの距離など、大学で学んだことと現場にギャップを感じるケースも少なくないようです。そうしたギャップを解消するためにも、今回のような取り組みがもっと増えていくといいのではないでしょうか」と、現場からの率直な感想として“現場を知ること”の大切さを強調した。